発熱性物質試験(RPT,LAL)と代替法について

海外規制や英語関連

発熱性物質試験法とは

発熱性物質試験法とは、発熱性物質の存在をウサギを用いて試験する方法のことです。

日本薬局方の一般試験法<4.04>にその規定があります。

英語ではRPT(Rabbit pyrogen test)や、パイロジェンテストと呼ばれたりします。

ウサギに対象となる薬品を静脈注射し、体温上昇を測定し、発熱性物質の陰性または陽性を判断するという試験です。

発熱性物質試験法のメリット・デメリット

この試験では、微生物由来の発熱性物質のほかに、化学的発熱性物質を含むさまざまなタイプの発熱性物質を検出できますが

実験操作が煩雑で複数の動物を使用しなければならず、結果は質的で、感度も低いです。

また、反復注射により発熱性物質に対する耐性が生じたり、試験実施時にウサギがストレスを感じる、ウサギの反応はヒトの反応と大きく異る可能性があるなど、試験の堅牢性に限界があります。

発熱物質とは

発熱物質は、血液循環に放出されると発熱する物質のことでパイロジェンとエンドトキシンがあります。

パイロジェン

パイロジェンは、細菌、真菌(カビ)、酵母、ウイルスなどのさまざまな種類の微生物によって生成されます。

細菌が産生する毒素のほとんどが、外毒素、神経毒、内毒素などの発熱物質です。

エンドトキシン

エンドトキシンはグラム陰性菌が産生する発熱物質の一種で、有毒なリポ多糖類です。

グラム陰性細菌の細胞壁外膜に存在するリポ多糖(Lipopolysaccharide)は様々な生物活性を示します。

直接血中に入ると極微量で発熱を惹起し、大量ではエンドトキシンショックから死に至らしめるような強い毒性を発揮します。

環境中に広く存在しているグラム陰性菌に由来し、耐熱性を示して容易に失活しないことから、エンドトキシンは医薬品の製造工程などにおいて混入する可能性があり、更に混入の可能性がある発熱性物質の中で特に強力な作用を示すことから、医薬品などの安全性確保のために管理すべき物質として位置づけられています。

エンドトキシン試験法とは

また、発熱物質のエンドトキシンの有無を確認する「エンドトキシン試験法」はカブトガニを用いる試験(カブトガニ血球抽出成分(LAL)試験)です。

日本薬局方の一般試験法<4.01>にその規定があります。

カブトガニ (Limulus polyphemus又はTachypleus tridentatus)の血球抽出成分から調製されたライセート試薬を用いてエンドトキシンを検出又は定量する方法です。

これは、カブトガニの血球抽出成分がエンドトキシンにより凝固する反応を利用した試験法です。

LAL試験はエンドトキシンのみを検出するため、試験サンプルに存在するかもしれない非エンドトキシン性の発熱物質を見逃すリスクがあります。

動物実験への規制

世界的に見ても動物を用いた試験に反対する動きが活発化してきています。

欧州薬局方委員会は、単球活性化試験(MAT法)が最良の代替方法であるとしてウサギ発熱性物質試験を廃止することにしました。

単球活性化試験(MAT法)は2010年に欧州薬局方(EP Chapter 2.6.30)に導入されました。

米国薬局方(USP)においても、両試験法(RPT,LAL)の代替試験法については長らく議論されてきました。

日局においても、第十八改正日本薬局方作成基本方針(平成 28 年 8 月 25 日 薬事・食品衛生審議会答申)において、

具体的な取組みとして「動物を使用しない試験法への代替(代替試験法)」が掲げられ、18 局に代替試験法に関連する参考情報が載りました。

※エンドトキシン試験法と測定試薬に遺伝子組換えタンパク質を用いる代替法

今後の傾向

動物を用いずエンドトキシンと非エンドトキシン性の両方の発熱物質の検出が可能なMAT法が今後の主流になっていくようです。

今後も業界及び各国規制当局の動向を注視していく必要があります。

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